今週のお題「名作」
昭和の日と言うことで、お題に沿った「Loose Lipsシリーズ」のルーツについて。
漫画の神様・手塚治虫の「MW」という漫画がこのゲームへ大きく影響を与えました。
これまでにもこのカテゴリーでさんざん書いてきました。
(↓このカテゴリーです)
「MW」ってどんな漫画?
簡単に説明しますと、昭和51に発表された全26話の漫画です。
本作は「同性愛」と「猟奇殺人」を題材として扱っており、数多くの手塚作品の中で異彩なものとなっている。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
そうです。まんま「Loose Lips」です。
MWの話をLoose Lipsに置き換えて説明しますと、
W主人公。
カサイ(賀来)は神父、セディ(結城)は梨園生まれのエリート銀行員。
二人の出会いは何年も昔のある島。
カサイは不良グループ(反社系)のいち員でセディとは偶然島で出会います。
そこでカサイは美少年のセディと強引に肉体関係をもちます(Loose Lipsでの二人と同じ。詳しくは【前日譚】Loose Lips(1979-1985) - Loose Lips【公式サイト】)
その島で起きたある出来事のせいでおかしくなったセディは、島から出るとシリアルキラーとなり人を殺し続けることに。
島での件を悔やみ神父になったカサイの元へ、殺人を犯す度にセディがやってくる(彼の懺悔を聞き、ずるずると肉体関係を続けていきます)
シリアルキラーとなったセディの復讐の物語。
簡単に説明すると「MW」はこんな感じの話です。
手塚治虫作品はこれまでたくさん読んできましたが、この「MW」には本当にぎょっと驚かされました。
火の鳥、ブッタ、BJ、どろろ、アドルフに告ぐ……ほかにも短編集とたくさん読んできましたが、この「MW」は短いながらも私に強烈な記憶として残りました。
男同士の肉欲的な関係を描いた創作物は、この時はじめて読みました。
それはそれは衝撃的で、だけどただの舞台装置ではなく、二人の関係こそがこの物語の軸である。どういうことなのか。なぜこの題材なのか。男女ではなく男同士なのか。あらゆるなぜどうして、それが最後まで読み進めさせたのだと思います。
単に男同士のセックスが意味もなく差し込まれるものであれば、読了しなかっただろうし、Loose Lipsを作る予定もなかったと思います。
この「MW」は男同士の肉体関係でなければ描けないタブーが主題であると気づきました。
今よりもずっと昔の昭和に描かれた作品ですから、同性愛、それも男同士のセックスと言うものはポップカルチャーの中で気軽に描かれるものではなかったと思います。
そうした背景があるからこそ、キャラクター達の葛藤や悩みが物語を面白くしているのでしょう。
面白かった!
それだけで終わる物語もたくさんありますが、この「MW」に関しては、読み終えたあと妙なたぎりや怒り、歯がゆさが残りました。
理由はおそらく後半の駆け足具合が消化不良を起こしたものだと考えます。
創作欲が湧く要因の一つが、この「消化不良」です。
好きな物語が終わる時の「続きが読みたい」
これに勝る欲はないと言っても過言ではありません。
そして、もう一つ別パターンの消化不良が「俺ならそうは作らない」です。
漫画の神様への冒涜!?と思われるかもしれませんが、好きな物語だからこそああでもない、こうでもないと思いを巡らせるのです。
そして、それをこねてる内に自分のもつ作風や好きな要素、得意なシステム。そういうものが混ざりあってゲーム企画が立ち上がります。
「MW」と「Loose Lips」
確かに影響は受けていますが、細かく見れば全く別物です。
「MW」の場合は、向かう先が社会の大きな悪事ですが、「Loose Lips」の場合、そうした大きなものと戦うシナリオではありません。
あくまでも主人公の刑事カサイと殺人鬼セディの関係がシナリオの中心です。(※1作目)
この1作目『Loose Lips(SIDE:rainy day)』は無料で遊べます。
ただ最新作は、社会の悪事と戦っているかも?
最新作『Loose Lips(SIDE:foggy_dawn)』も無料配布中
Loose Lipsシリーズを好きな人は、このMWも楽しめるかもしれません。
昭和が生んだ数々の名作から「MW」について書いてみました。